序章

3/27
20644人が本棚に入れています
本棚に追加
/241ページ
――――― アルギム神聖王国 ――――― 一人の男がベビーベッドを覗き込む。 そこには可愛らしい双子の赤ん坊が眠っている。 だいたい生後3ヶ月といったところだろう。 「……アナタ」 男の後ろに立つ女性がいた。とても綺麗な女性である。 おそらく、この二人が赤ん坊の両親なのだろう。 「本当に、どちらかを……?」 「……仕方ないことだ。我が国は神託を守らなければならない。 この二人が将来にでも争い、国を危機に追いやるのならば速やかに片方を排除する。 そうでなければ、この国は存続できないのだ」 この男は下唇を噛み締めながら、一方の赤ん坊を抱きかかえて近くのテーブルに置かれた水晶を触らせる。 水晶は光を灯し、部屋の中が明るくなった。 「……次だ」 赤ん坊をベッドに戻し、もう片方の赤ん坊に水晶を触らせた。
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!