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樽を抱えたまま蓋を頭で割る。
『フヌオーーーーッ!!』
そのまま顔を突っ込む。
ここまでは村長とは大差無いのだが、そこからが違う。
樽に徐々に傾けていき、浴びるように葡萄酒を呑み出した。
『『『おぉー』』』
周りの大人たちが手拍子を始め、さらに樽の傾斜が大きくなる。
『『『一気、一気、一気、一気、一気ッ!』』』
合間合間に休憩を挟んだりはするが、決して樽を降ろさず、ネイムは葡萄酒を一滴も溢さずに呑んでいく。
豪快に喉を鳴らすネイム
そしてそのまま数秒後――
『――ブハーーーッ!』
ネイムは樽一杯の葡萄酒をすべて呑みきった。
『いいぞワケェの!』『村長負けてんじゃん!』『明日辛いぞ~』
皆が持て囃す中、村長は酒樽からようやく顔を上げる。
『どうだーーッ!』
本人はどや顔をネイムに向けているが、ネイムは空の酒樽を指一本で支え、村長を見下ろしていた。
『――ヒック、おれのヒック――かちらぞ~~ッ!』
村長は愕然とし、さらに場は盛り上がる。
『呂律全然回ってないがコイツ凄いぞ!』
『ジャックも歳だな~』
『わしも若い頃はあれくらいいけたんじゃがなぁ~』
『オメェは昔から下戸じゃろう』
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