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「なるほど」と男は頷く。
「つまり、無所属か」
村人たちが騒然となる。一人でピックバードの群れを倒す実力の持ち主がどこにも所属していないなんてことは本来ありえないからだ。
「だからあんまり欲張らなかったのか」
ジャックは一人納得したように頷く。
「前に討伐依頼した輩はこっちの足元見て有り金巻き上げて行きやがったからな」
もう一人の村人がジャックの言葉に同意した。
ジャックは多少はふらつきながら立ち上がり、男の前に立つ。
「そんなわけで、俺らがアンタに支払う金はねぇぞ?」
この村の人々は戦士という職業にあまり良い印象を持っていないらしく、険悪な雰囲気が流れる。
「と、父さん」
「なんだ?」
「この人、無料で依頼受けてくれたみたいなんだけど……?」
「……は?」
ジャックは呆けた顔をしてウィルソンを見て、男を見た。
「俺は【近衛騎士】だからな。困っている人は助ける」
「近衛騎士っ!?」
棒を構えていたネイムはすっとんきょうな声を上げた。
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