命名&旅立ち

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村人たちは再び騒然となる。 「ば、馬鹿言うな! 近衛騎士様がこんな田舎まで来てくれるわけないだろ!」 「そうだそうだ! アルギムでも十人しかいない高貴な方々だぞ!!」 一斉に男にブーイングを飛ばす村人 当の近衛騎士を名乗る男はやれやれと肩をすくめた。 「顔みせやがれ! 俺は近衛の方々を一度見てるんだ! もし本当にそうなら、この俺が見間違うはずがねぇ!!」 村人の中で馬車持つ男がそういった。 「はぁ…………これでいいか?」 深く被っていたフードを外した。 《…………》 顔を見たという男だけでなく、その場にいた全員が沈黙した。 ネイムまでも唖然として口をだらしなく開いている。 なぜなら、フードを取った顔から見えたのは男の顔ではなく“女の顔”だったからだ。 「ふぅ」 頭を軽く揺らし、フードの中に隠していた長い赤い髪出てくる。 顔にかかった前髪を手で軽く押さえながら、上品な笑いを浮かべた。 「男のふりって大変ね」 町から一緒に行動していたウィルソンはずっと“彼女”を男と思っていたために、この場で誰よりも衝撃が大きかった。 「……ほ、本物だ」 先ほどの男がポツリと呟いた。 「本物の【アルカ・N・ウィゴット】様だ!」
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