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セレ・アルギムを出て、ネイムは徒歩で先行していた者たちを追い越していく。
徒歩ならば驚くことでもないが、ネイムは風の魔法で体を浮かせて移動する者たちまで追い越していく。
追い越された者たちは唖然とした顔でネイムを見送る。
ネイムはリュックを背負ったまま物凄い速さで走り続けているのだ。
そこらの馬よりも速いかもしれない。
もっと凄いのは、その速度を街を出てからも保ち続けていることだ。
すでに3㎞ほど街から離れたが、ネイムは息を切らしてすらいない。
底無しのスタミナ
伊達に十年も修行はしていないということだろう。
「ネイムくーん!」
「ん?」
名前を呼ばれて振り返りはしたが、走ることは止めないネイム
そこへマルタとマリアの二人が風の魔法で追い付いてきた。
心なしかマリアは疲弊している。
「速度抑えて! マリアちゃんの魔力無くなっちゃう!」
「……はぁ」
仕方なく速度を弱め、通常の風の魔法と同じ速度になる。
「あ、あんた……どういう体力してるのよ…………!」
短時間で大量の魔力を消費したことで疲弊したマリアはネイムを睨んだ。
「熊と競争してればこうなる。
お前風属性だったのか」
「マリアちゃんは火と風の二つの属性を持ってるんですよ」
「へぇ」
聞いた本人なのだがネイムは大して興味を抱いていない。
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