再会&誘拐

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――――― アルギム城・隠し部屋 ――――― 「――ペロ」 「……ん」 頬を湿った何かで撫でられたような感触に不快感を覚え、思わずうめき声をあげる。 「――――ピィ」 「…………うぅん」 続いて頭を何度も叩かれる。 失われていた意識が徐々に戻ってくる。 目を開くと、最初に視界に入ってきたのは桜色の毛並の良さそうな物体だった。 「…………サクラ?」 「ピィ!」 寝ぼけ眼でそうネイムが名前を呼ぶと、呼ばれたサクラは嬉しいのか犬みたいに尻尾を振った。 「………………俺、なんで」 いまいち状況を把握できず、ゆっくりと体を起こす。 「……俺の、部屋?」 部屋の内装に、ネイムは呆然としながら呟いた。 寮の部屋などではない。 かつてネイムがカリウスとして過ごした部屋である。 その部屋の内装を、ネイムは今でも鮮明に思い出すことができた。 今のこの部屋の内装は記憶にある物と酷似していたのである。 「……俺、死んだのか?」 「いや、ちゃんと生きているよ」 部屋の中から自分とは別の者の声がして驚いた。 声は暖炉の方から聞こえ、そこには一人の少年がいた。 それが誰であるのか、ネイムはすぐに分かった。
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