972人が本棚に入れています
本棚に追加
初めて、私の名前を呼び捨てにした人だった。
出会ったのは、学校の食堂にある自動販売機の前。
10円足りなくて困っていた私に、10円を貸してくれた。
一緒にジュースを買って、たわいもない会話を始めた。
そんな、どこにでも転がってるような陳腐な出会いだった。
入学して2日目で、クラスの子もまともに知らなかった私。
その日の他愛無い会話で、キミが同じクラスだと知った。
翌日から
「オハヨ」
と当たり前みたいに声を掛けてくれたキミ。
ドキドキした。
高校で初めて出来た男友達という存在に。
軽く交わされる挨拶に。
「お、はよっ」
恥ずかしながらも返事をする私
キミは衒いなくニッと笑顔を返してくれた。
それだけで―――
多分、それだけで私はキミに恋をした。
最初のコメントを投稿しよう!