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――発動した。そう、なった。バーサーカーモードに。
「…無駄だな」
バーサーカーモードの俺は呟く。
すべてスローモーションにみえる。剣の軌道がわかる。この場所では避けられない。攻撃はこうすれば当たらない。
攻撃の受け方や、反撃の仕方が頭に浮かぶ。
そして、絶妙のタイミングで体が勝手に動いてくれる。
俺の頭上数センチで炎剣が静止する。
何故なら、俺が左手の親指と人差し指で摘まむように真剣白刃取りをやったからだ。
ベリルが剣に気をとられている間に、俺はコインを右手に乗せ、コイントスの体制に入った。
コインを弾いた。全力で。金属特有の高い音を立てベリルの手元に飛び、命中した。
無論、バーサーカーモード全力のコイントスを受けて物を持っていられるはずなく、炎剣レーヴァティンは俺の手にある。
「チェックメイトだな。命乞いでもしてもらおうか」
自分自身でもびっくりするくらいの冷たい声をベリルに浴びせる。
「魔法なしでレーヴァティンを奪われるなんて…」
軽く涙目で呟くベリル
「そんな言葉発せられるならまだ戦えるな」
と、剣を上段に構える。
「ちよっ、ちょっと待って。交渉しない?」
「はぁ?なに言ってやがる。テメェ自分がどんな状況かわかってんのか?テメェは負けたんだぞ。交渉なんてしてもらえるわけねぇだろ」
と、すぐ脇にあった壁をきりつける。
「ひっ!!そ、そんな。許して」
涙目と言うよりもはや泣いているベリル。
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