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「お前…斉木!?」
「えッ…!?あっ…も、桃城けい………うぐッ…!!」
その斉木と呼ばれた男は、誠一を見てハッと目を見開いた。
………が、すぐに気分悪そうに口元を押さえる。
よく見れば、いまにも吐きそうではないか。
どうやらこの男が、誠一の新しい部下の斉木らしい。
あまり馴染んでないスーツを着込み、まだ初々しい面持ちだ。
まだ二十代後半に差し掛かる前…といったところだろう。
いかにもまだ頼りない雰囲気だ。
「斉木!!なんでここにいる!?」
「え…だ、だって、警部が先に来るようにって……う、うぐッ…!!」
「おい!現場で吐くな!!吐くなら向こう行け!!」
斉木はすいませんと頭を下げると、草の露で足を滑らせながら河原の茂みへと駆けていった。
「ったく。勝手に現場に入るからだ。」
誠一は思わずため息をついた。
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