2、『死ノカウントダウン始マル』

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まったくです、と誠一は苦笑いで返した。 「それで……遺体は?」 「そっちじゃ。」 渋谷は先日の雨でかなら湿っぽくなっている先を指した。 足を踏み入れば、ぬかるみで足をとられてしまう。 ………そこには、人間大の青色のビニールシートが被せられており…。 鼻をつく異臭がした。 誠一は一度ビニールシートの前で手を合わせ、冥福を捧げる。 そして、はらりとシートをはぐり遺体を確認した。 「………。」 長年刑事を務める誠一でも、あまり気分のいいものではない。 慣れた…といえばそこまでだが。 人の死に様というものは、生々しく時にひどく残酷なものだからだ。 誠一は遺体の様子を確認すると、ふぅと一つため息をついた。 「まだ、若いな。」 「………じゃな。先日の雨と、死後数日が経ったせいで遺体はかなり傷んどる。なんともまぁ、憐れなもんじゃ。」
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