短編集~ショート・ショート~

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おや、一羽のカラスが駅のほうへ飛んでいきましたね。駅にはマクドナルドもケンタッキーもあります。おいしいケーキ屋さんも。きっと駅前ではごみ箱のなかまで売り物が詰め込まれ、お客さんを待っているのでしょう。駅とは本当に賑やかな所ですね。 フライドポテトをLサイズひとつ下さい。塩を多めにふりかけて、。コーラもLLサイズでひとつ。 私は絵を描いています。描くにつれ、この絵の終わりについて考えなければならなくなったのですが、考えても何もわからないばかりなものですから、ごみ箱にこんな私自身を捨てる余白を残してみたのですが、どうでしょう。少しは正解でしょうか。 ところで、ここにきて、私は真っすぐな道路に一台の車も自転車もないことに気がつき、驚きました。何か描きこまなければ。せっかくの真っすぐな道なのですから。 そこで、私は車のことが不案内なこともあり、二車線の立派な道路に一匹の猫と、10人乗りの自転車バスを描いてみました。 何やら、絵に愛嬌が出たようで、絵のなかの老人の私はどうあれ、描いてる私は嬉しくなってしまいました。 なので、私は絵を終わらせて、今から駅に行こうと思うのです。言い忘れましたが、駅にはミスタードーナツもあるのです。そこで、いつまで続くかわからない、コーヒーおかわりの自由を、今のうちに、たっぷりと享受してこようと思うのです。 私は行きます。あの真っ黒なカラスのいくほうへ。
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