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「名は」
「真」
「歳は」
「十」
「そうか…」
男は少し躊躇した後に口を開いた。
「伯南は死んだ」
「…?」
「私の身代わりとなって、つい先ほど袁術の手の者に首を刎ねられた」
「…」
「私は曹孟徳という。伯南の一族は我が曹氏が引き受ける」
遠くから馬蹄の響が近づいてきた。
殿、殿はいずこに、という叫び声も聞こえた。
曹操は真の手を引いて屋敷の外へと出て「ここだ」と呼ばわった。
不規則に動いていた松明の明かりがこちらに向かって集まってくる。
やがて屋敷の前は兵士たちの歓喜に溢れた表情で溢れた。
曹操はぼんやりとこの光景を眺めている真に向かって言った。
「君は曹真だ」
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