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はじめて曹丕に会ったとき、随分と大人びた子どもだなと曹真は思った。 195年当時、曹丕は9歳である。 この時すでに曹丕は巧みに文章を書いたという。 また剣術も得意とし、何をとってもそつのない男子であった。 曹真のほうが彼より一つ上の年齢であったが、 彼に勝る部分は何一つとして持ち合わせていなかった。 そんな曹真を見て曹丕は何を言うでもなく、口の片端を上げてにやつくだけだった。 音のない嘲笑だった。 曹真はせめて一つでもいいから、曹丕を負かしてやろうと決めた。 そうせねばならぬと思った。
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