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突然夢から目覚め、寝起きのぼんやりした顔で部屋の中を見回す。
大きな柱と梁のある部屋。
和室を思わせる作りの室内は、女の子の部屋らしく飾りつけられている。
いつもと変わらない自分の部屋に、胸に手を当て雪乃は小さく息を吐いた。
小さな頃から繰り返し見る夢。
暗闇の中、姿さえ見えない相手は、声なき声で自分を呼ぶ。
おもむろにベットから立ち上がった雪乃は、クローゼットから真新しい高校の夏服を取り、着替えを済ませキッチンへ向かった。
小さく軋む廊下は、この家の古い年月を思わせる。長年に渡り磨かれた廊下を歩きながらガラス戸に目を向けると、よく手入れされた日本庭園が見えた。
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