日常

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古く大きなこの家は一部改築されてはいるが、建てられた当初の面影を強く残している。 廊下の先にある両開きの木戸を開けると、リビングとシステムキッチンが目に入り、その現代的な光景に不思議な違和感を覚えた。 「おはよう」     「ああ、おはよう」 挨拶した雪乃に、ダイニングテーブルで新聞を広げていた父親は、新聞に目を落としたまま挨拶を返した。  素っ気ない父親の挨拶の声に、キッチンで朝食の準備をしていた母親が顔を出す。 「おはよう、雪乃。すぐ用意するわね」 「うん」 雪乃はあまり機嫌の良くない父から離れて座り、母親がテーブルに運んだトーストと朝食プレートを前に手を合わせる。
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