日常

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小さい頃から変わらないパンの朝食。食べ終わると、すぐにキッキンを出た。階段を上がろうとした時、欠伸しながら下りてきた弟とすれ違う。 「佑真、おはよ。早くしないと遅刻するわよ」 「あー、分かってるよ」 2つ下で中3の佑真は、寝癖の頭を掻き面倒そうに返事した。 だらしない弟に溜め息を吐き、部屋へ戻る。その後、髪を念入りにブローし、鏡で何度もチェックして家を出た。 眩しい朝日に晴れ渡った空。 玄関の脇に止めていた自転車を押し門を出て、駅までの道を急ぐ。 道路を挟み左右に広がる山と町並み。朝の涼しく澄んだ空気の中、田舎の一本道を自転車を漕ぎ進む。 数ヶ月前まで住んでいた所と違い田舎のこの町は、父の故郷で先祖が長年暮らしてきた土地。
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