日常

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雪乃の家は旧家。その家の長男として産まれた父は、重圧と田舎の町に嫌気が差し、大学卒業と同時に家を出た。 その後、都会で就職した父は母と知り合い、周囲の反対を押し切り結婚する。それで、祖父との仲は決定的となった。 絶縁状態の関係に変化があったのは、弟が産まれてから。一人息子だった父に男児が産まれた事で、祖父は母を嫁として認めた。 それでも、後を継ぐ気のない父と祖父との関係が完全に修復される事はなく、祖母が亡くなり祖父1人になっても、父が実家に戻らないまま月日は過ぎた。 それが、今年に入ってすぐ祖父が亡くなると遺言と親戚からの説得もあり、父は会社を辞め家族を連れて町に戻って来た。 父の実家での新しい生活。けれど、雪乃は父と違いこの町が嫌いではなかった。 自然豊かな風景と今も残る古い建物。それを、とても懐かしく感じる。
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