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「いや、階段で転んだだけだって…おい、日本刀なんてどっから持ってきた?」
俺は日本刀を持ち、今にも家を出て行こうとする母さんを必死で止める。
コイツの力はなんだ!?化け物か!?
俺は親父と協力してなんとか暴走する母さんを鎮めた。
食事を済ませて、風呂に一緒に入ろうとする両親を退けて部屋で物思いに耽ってみる。
「はぁ…なんで俺ってこんな不幸なんだろ…」
なんて感傷に浸りながら、ベッドに横になってみた。
瞬間ベッドの横にある本棚が倒れてきた。
「どっほあぁ!!?あっぶねぇ!」
間一髪躱したが、本棚に入っていた本はあちこちに散らばっている。
それを見て、はぁ、と長く重い溜息を吐いて片づけに取り掛かった。
すると、中学校の時のアルバムが出てきた。
気分転換に見てみようか…。
しかし、俺が映っている写真はあるっちゃあるんだが…なんでだろう、鳥やら人やらで顔が見えない。
こんなのってねぇよ…。
それでも、めげずに探してみると、そこには俺の表情も隣に居る人もちゃんと映った写真があった。
「あ…」
俺の隣でニッコリピースしているのは、琴吹琴美(コトブキコトミ)通称コトコト。
実は俺の初恋の人…。
その初恋は高2になった今でも続いていて、彼女は未だに俺の中では天使のような人なんだ。
でも…彼氏いるんだよな…。
それも飛びきりのイケメン。
「かぁ!羨ましい!!」
「何がだ?」
「あらこの子だれ?」
「…勝手に入ってくんじゃねぇ…」
はぁ、いつからいたんだ?この2人。
「父さんはこの子知らないな…同じクラスの子か?」
「幸太!まさか…この子…ムキーッ!幸太は私のものよ!神様が許しても私は(以下略」
俺はうるさい両親を頑張って部屋から追い出して、再び写真を見つめる。
「琴吹…、はぁ…」
そういえば溜息を吐いていると幸せが逃げるとかなんとか、これからは気をつけよう。
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