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時刻が正午に近付き、太陽の位置が高くなってきた。
「…なんか、腹減ったな」
ロヴィーノは呟いた。今日は普段と全く違う動きをした上に、全く違う出来事まで起こっているのだ。隣にいるマシューも、顔には出していないが相当疲弊しているに違いない。
「もうすぐでラゴッシュだからな」
ギルベルトが二人に声をかけた。
「ラゴッシュって?」
「海賊相手に商売して稼いでる商業連合が牛耳ってる東の港町だ。そこでは食糧も武器防具も何でも揃ってる」
マシューの質問に、ギルベルトが答える。彼は面舵を取りながらゆっくりと船を進めて行った。
「トーニョやフランと一緒にいた頃にも、あの町には随分と世話になったんだぜ」
ロヴィーノは疲弊しながらも、新たな町への期待に胸を膨らませていた。
バパス以外の町を知らない彼にとっては、他のどんな町でも新天地なのである。
「楽しみですね」
そんなロヴィーノの気持ちを読んだかのようにマシューが微笑む。
「…まぁな」
ロヴィーノはマシューから視線を逸らして呟いた。
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