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「提督…兄さんの、お前の話をする時、いつも寂しそうな顔をするんですよ。どこにいて、何をしてるんだろうって溜め息つきながら呟いて………見てられなかったですよ」
ギルベルトは部下に質問攻めされているルートヴィヒの背中を見た。
「そうか………一つ聞きたいんだが、お前カークランドっていったよな?」
「それが何ですか?」
そう聞き返したピーターの声音は冷え切っていた。
ギルベルトは、この話題がピーターにとって忌まわしいものであることを悟った。
「いや………ちょっと気になってな」
「そうですか。………羨ましいですよ」
ピーターの声は、子供のものとは思えない憂いを帯びていた。
「提督も、お前も」
商船の方からロヴィーノとマシューが呼んでいる。ギルベルトはもう少しピーターと話していたかったが、軍艦の甲板を歩いて商船の方へ飛び移った。
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