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大阪城。
・・・成る程、立派な城だ。
城下も活気に溢れていたし・・・割といい政治をしているのか。
場内に入り、客間に通された。
そこに居たのは、全身に包帯を巻かれた奇妙な男。
「刑部。武田が来ている」
「んん?はて、聞いていないが」
ニヤニヤと笑うその男の笑みは、意地悪そうで。・・・聞いていたのではないかと思ってしまう。
「・・・改めて、佐久間鈴成と申す。此度は急な来訪を受け入れて下さり、感謝する」
三つ指をついて挨拶をする。
石田も刑部、と呼ばれた男もあまり興味がなさそうだ。
「先日の戦で我が武田の大将・・・信玄公がお倒れになり、我が軍は若き大将、真田幸村を立てることとなった。・・・その代理で参った」
石田は上座で胡座をかき、包帯男はその後ろに座っている。
「代理、なァ?実は主が武田を仕切っているのではないかと我は思うが?」
「・・・俺は代理だ、決定は全て幸村にまかせる」
意地悪い笑みが皮肉に笑う。
・・・全てを見透かされているのかと、ぞっとした。
「それで、貴様はどうしたい」
「お館様・・・信玄公の意志を継ぎ、徳川を討つため・・・貴公の西軍に入れていただきたく思う」
徳川、と聞いた瞬間に石田の表情が変わった。
・・・どう、したんだろう。
「家康・・・!!!!貴様も家康家康とほざくか!」
「え・・・?」
ずかずかと近づいてきたと思うと、衿元を掴まれた。
何なんだ、いきなり!
「三成、やめぃ。その男は利用するに値する男よ」
「・・・ふん」
包帯男の冷たい声。・・・しかし、やはり何処か面白がっているような声だ。
石田はそれに従い、俺を離した。
・・・最近のキレやすい若者、か?
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