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「あの、すみません」
その時だった、横から覗き込むように、長い茶髪のスーツ姿の男性に話しかけられる。
「えっ!?はい!何ですか!?わたし金はあまり持ってないですけど……」
いきなり話しかけられてついそう答えてしまった。すると男性は小さく笑いながら首を横に振る。
「ははは、違うよ。もしかしてホストか何かに見えた?」
優しくそう言いながら男性は、わたしの正面に立ち、懐から何やら取り出した。
「実は僕はタレント事務所のスカウトなんだけど。はいこれ名刺」
「はい!?」
情けない声が自然と漏れてしまう。というより急な状況についていけずに、頭の中は真っ白になってしまった。
「驚いた?まあ、突然こんなことを言われたらね?」
優しく微笑みかける男性。数秒間の沈黙の後、ようやく少しは思考回路が戻ってきた。
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