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トントン
…返事はない。
誰もいないのかな?
小さな不安を膨らませ、『物置』と書いた部屋に入った。
「ここのはずなんだけど…」
たくさんの写真。
なぜか3つある椅子。
そして、
「これ…」
「あれ、紀子ちゃん?」
「うわぁ!」
驚いてしりもちをつく。
そこに立っていたのは今朝の坂井くん、坂井拓海くんだった。
「いや、こっちも驚いたんだよ?同じクラスの子が写真部室にいたんだから」
「…ですよね」
「あ、その写真」
私が手に持っている、この写真。
真っ青な海に砂浜が写っている。
「俺のお気に入り。綺麗でしょ?」
「…はい」
たしかに綺麗だと思う。
だけど、なにか違和感があるのは気のせい…?
「…紀子ちゃん」
「はい」
「同じクラスなんだから、敬語はやめようよ」
「あ、はい…うん」
何を言うのかと思いきや、敬語を指摘されるなんて。
坂井くんはやっぱりどこか先輩な感じがして。
「あのさ」
「?」
「良かったら写真部に入らない?」
「……」
「……」
「…え?」
わ、私が写真部に入る!?
.
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