case.30 開店時間は午後6時

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瑞希と明日香も相変わらず。 パートナーシップを宣言した後も、 表面的には何も変わっていないけれどね。 飲み過ぎた明日香を連れて帰るのも瑞希。 たまに女性に声を掛けられる瑞希に、 焼きもちを焼くのは明日香。 それでも。 2人が笑い合って過ごす事が出来ているのは、 お互いの信頼と愛情あってこその ものなのよね、きっと。 そして、私と智。 智の左手の薬指には。 私と同じシルバーのリング。 3年前。 中々、私を受け入れようとしなかった智。 私を信じ切れないって言われた。 それでも。 毎日のように自分の元に来る私に 根負けして。 取り敢えず、から友達に戻ろう。 って言われたのが2年前。 智の体重が、完全に戻ったのがその半年後。 そして、さらに半年後の1年前。 ようやく、 智が私をもう一度受け入れてくれた。 友達…親友としてではなく、恋人として。 とても長く感じだけれど、 智は私の何倍以上もの時間、 私の事を思ってくれていた。 その気持ちに、 今度こそ正面から受け止める事が出来て。 私は今、とても幸せなのよ。 智は今TOP SECRETを経営するのと別に。 10代から20代の若い世代の子達を支援する活動をしている。 勿論、セクシャリティに悩みのある子が中心だけれど。 それ以外でも、 親のDVやいじめに悩む子達の支援も 出来るだけ行っているみたい。 智自身が、父親のDVだったり、 マイノリティで悩んでいた事から、 いつかやりたかった事だったんだって。 ボランティアに頼るところも多くて、 資金面で結構大変みたいだけれど。 それでも遣り甲斐があるのか、 智は毎日充実した日々を過ごしているように思う。 3年前の私は、まさか智と恋人になるなんて考えていなかったけれど。 今、この場所に居られること。 大切な人と、愛し合えることが、 本当に嬉しい。 それとね。来週。 パートナーシップ宣言をする予定なの。 勿論、双方の親は了承済みよ。 それに、近々引っ越しもする予定。 智のお店と私の店の中間地点にある、 2LDKのマンション。 今度はエレベーター付きよ。 『灯子?そろそろ時間だけど。』 『あぁ、うん。もう終わるわ。』 さて、そろそろ行かなくちゃ。 この後、瑞希たちと一緒に 私と智の結婚パーティーの 打ち合わせをするのよ。 そうねぇ。 私達の今後が知りたい方は、 ぜひ当店、 NO DOUBTへお越しくださいませ。 え、開店時間? もういい加減覚えてくれない? そう。 開店時間は午後6時。 よろしくね。 それじゃ。 開店時間は午後6時    END
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