case.30 開店時間は午後6時

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………────────。 え?それからどうなったって? それがね、 智は中々許してくれなかったのよ。 それでも、私は毎日のように食べ物を届けに行ったわ。 パン、お弁当、私自身が作ったお惣菜とか。 とにかく、餌付けしまくったわ。 餌付けって言い方は違う? そうね。 でもあの時の智には、なんとしてでも食べて貰いたかったし。 体型、体重を元に戻して欲しかったのよ。 後から聞いた話だと、実際問題、 体のあちこちに支障はあったみたい。 あ、もちろん。 お陰様で今は体重も元に戻り、 体調も大丈夫よ。 餌付け大成功って訳。 それで? あぁ。私達の関係? 知りたい? 左手の指輪の意味も? 教えてあげてもいいけれど… もう時間切れね。 彼女さん…奥さんが来られたみたいよ。 この話の続きは、また今度ね。 じゃ、私はこれで。 お客さんに別れを告げ、 私はバックヤードに戻った。 事務仕事を片付けておかないとね。 そう思って事務所に入ると…。 『お疲れ、灯子。』 『あら、来てたの?』 事務所の中には、 椅子に座ってスマホを弄っている智がいた。 『声掛けてくれればよかったのに。』 『うち等の話してんのに、声なんてかけらんないっしょ?』 『それもそうね。ちょっと待ってて。これだけ済ますから。』 『うん、全然構わんよ。』 私は自分のデスクに座ると 溜まった領収書やらなんやらの 事務仕事に取り掛かる。 ちょっとでも減らしておかないと、 明日が大変になるわ。 今夜はこれから、 智と一緒に出掛ける事になっている。 瑞希と明日香ともそこで待ち合わせ。 お店が終わるまで待てないから、 今日の閉店業務は 曽根崎に任せる事にしたわ。 3年前に米澤の代わりに バーテンダーとして入ったけれど、 今ではこの店に絶対必要な人材。 バーテンダーとしてもそうだけれど、 接客以外の業務や他の従業員、 アルバイト達との関係も円滑に計れるし。 米澤に関しては。 幸せにしているみたいよ、結華ちゃんとも。 詳しくは言えないけれど… ほら、大人の事情よ。 大人と言うより、作者の都合… とでも言うべき? ま、でも本当に、 幸せに過ごしているみたいで良かったわ。 あの2人も色々あったものね。
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