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………────────。
え?それからどうなったって?
それがね、
智は中々許してくれなかったのよ。
それでも、私は毎日のように食べ物を届けに行ったわ。
パン、お弁当、私自身が作ったお惣菜とか。
とにかく、餌付けしまくったわ。
餌付けって言い方は違う?
そうね。
でもあの時の智には、なんとしてでも食べて貰いたかったし。
体型、体重を元に戻して欲しかったのよ。
後から聞いた話だと、実際問題、
体のあちこちに支障はあったみたい。
あ、もちろん。
お陰様で今は体重も元に戻り、
体調も大丈夫よ。
餌付け大成功って訳。
それで?
あぁ。私達の関係?
知りたい?
左手の指輪の意味も?
教えてあげてもいいけれど…
もう時間切れね。
彼女さん…奥さんが来られたみたいよ。
この話の続きは、また今度ね。
じゃ、私はこれで。
お客さんに別れを告げ、
私はバックヤードに戻った。
事務仕事を片付けておかないとね。
そう思って事務所に入ると…。
『お疲れ、灯子。』
『あら、来てたの?』
事務所の中には、
椅子に座ってスマホを弄っている智がいた。
『声掛けてくれればよかったのに。』
『うち等の話してんのに、声なんてかけらんないっしょ?』
『それもそうね。ちょっと待ってて。これだけ済ますから。』
『うん、全然構わんよ。』
私は自分のデスクに座ると
溜まった領収書やらなんやらの
事務仕事に取り掛かる。
ちょっとでも減らしておかないと、
明日が大変になるわ。
今夜はこれから、
智と一緒に出掛ける事になっている。
瑞希と明日香ともそこで待ち合わせ。
お店が終わるまで待てないから、
今日の閉店業務は
曽根崎に任せる事にしたわ。
3年前に米澤の代わりに
バーテンダーとして入ったけれど、
今ではこの店に絶対必要な人材。
バーテンダーとしてもそうだけれど、
接客以外の業務や他の従業員、
アルバイト達との関係も円滑に計れるし。
米澤に関しては。
幸せにしているみたいよ、結華ちゃんとも。
詳しくは言えないけれど…
ほら、大人の事情よ。
大人と言うより、作者の都合…
とでも言うべき?
ま、でも本当に、
幸せに過ごしているみたいで良かったわ。
あの2人も色々あったものね。
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