曖妹メランコリー

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『夏奈ー! 早くしないと学校遅れるわよー!!』 『わかってるよ!いってきまーす!』 2011年12月22日、 世の中はクリスマス一色に染まっている。 今日は平日。クリスマスの雰囲気に少々そわそわしながらも、みな今日も変わらない1日を送るのだろう。 ―キーンコーン… 始業5分前のベルが鳴る。 『夏奈おはよう! 今日も寒いねー』 クラスメイトの結子が声を掛けた。 『おはよ!うん、ほんとに! 毎日起きるの辛いよー』 結子とは部活も一緒で、仲が良い。こうやって何気ない会話をするのが私たちの日課になっている。 『そういえばさー、夏奈のお兄ちゃん今日もテレビ出てたね!』 『あー…うん』 『うん…って、アンタもっと喜びなよ~!お兄ちゃん今すっごい人気じゃん!』 私の兄、倉知諒は高校生の時に芸能界に入った。 並外れたルックスに加え、ストイックな性格が周囲から注目を浴び、今では超人気タレントとして多方面で活躍している。 『いーなぁ。私も夏奈のお兄ちゃんみたいにかっこいいお兄ちゃんが欲しー!』 『…ふーん』 (アレのどこが良いんだか…) 結子の熱弁に私はまるで興味ないというような気のない返事をした。 『ま、兄妹だし普通そういう反応よね』 結子はケラケラと笑いながら言う。 『諒さん、クリスマスとかめっちゃ忙しいんだろうね。大変ー』 『……知らない』 私がまだ小さかった頃は、行き過ぎってくらい兄妹仲良かったのに、 いつから私は兄をキライになったのだろう…。
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