1.王子様

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因みに今、隣の席には大倉君はいない。友達に誘われてどこかへ行ってしまったから。 大方、昼御飯でも食べに行ったんだろうと思う。 やっぱりイケメンの友達はイケメンなのだろうか。 桜子によると、大倉君とその男の子がこのクラスのイケメンツートップ、らしい。 類は友を呼ぶ、みたいな? えーっと名前は……なんだっけ。 大倉君に「尋貴」って呼ばれてるから下の名前は尋貴なんだろうけど、名字がどうしても思い出せない。 うーん……? 「ね、ね! 結局なんだったの? 喧嘩してたの? キャー、お近づきフラグー!」 離れかけてた意識が、桜子の声でぐいっと引き戻される。 危ない危ない。 「お、大袈裟だよ桜子。喧嘩ってほどでもないし」 ていうかお近づきフラグってなんだ。 最近覚えたフラグって言葉を使いたいだけだろうか。 多分死亡フラグとか、そういう類いのアレだ。 「大袈裟にもなるわよ! はー、ただでさえ大倉君と隣の席で羨ましいっていうのに、それに加えてあの王子様とお話ができたなんて……!」 「おーい、どこみてんの? そこになんかあんの?」 末期みたい。
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