砕原 柊斗 『さいはら しゅうと』

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道の端には桜が立ち並び、まるで俺を待っていたかのように花をなびかせる。 和やかな気分になっていると、ふと今の時間が気になって、腕時計に視線を落としてみる。 ……ふむ。 いつもより全然早い時間じゃん。ありえなっ。 でも、まぁ今日に限っては嫌な気分じゃない。 何故なら―― 「おはよ。柊斗くん」 「ひゃぅっ!?」 び、びっくりしたぁ。 まさか不意に後ろを振り返って声をかけられるとは…… 今俺の前を歩いていたのは、長く艶やかな黒髪、透き通ったような肌、冗談かと思えてしまうほど整った顔立ち。 眼☆福 ああ、それにしても今日もお美しいであります。湊 陽菜(みなと ひな)様ェ…… 「あ、あぁ……おはよう。湊様」 「え、様? どうしたの~?朝から」 ……っは!? いかんいかん。思わず本音が出てしまった。 ……いいか、お前ら。 陽菜様は俺の未来の嫁(の予定)なんだからな。異論は認めん。
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