第一章

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――翌日。 僕は一晩で書きあげた文字だらけのメモ帳を片手に、ありとあらゆる可能性を考察していた。 そのメモの内容は、次の通りだ。 特徴。長く細い黒髪。綺麗な瞳。白い肌。女性らしい体つき。大人びた顔。 趣味。読書。それ以外にもある可能性あり。 性格。おとなしい。しかし、雰囲気からすると言っても聴き入れないタイプかもしれない。 血液型。恐らくA型。だがO型もあり得る。断定はできない。 誕生日。不明。性格から遅生まれ可能性がある。 癖。これからの観察次第でわかる。 口調。話せばわかる。 (……一人っ子の可能性は濃厚。家族構成は恐らく父と母と尾崎さんの三人だ。ひょっとするとどっちかが亡くなっている可能性もあるな。精神的に滅入ってて人と接する気力がないという方面も考慮すべきだ。後は単純に人と接するのが苦手だと言う事も。あるいはもっと単純に僕達クラスメイト自体に興味がないって点も有りだ。あと他に考えられるのは……) 何時になく真面目だった。それにこんなにも誰かの為に頭を使った事があるだろうか? パッと思いつく限りでは美沙くらいだ。あとはきっといないだろう。 パサリとメモ帳を閉じて僕は眉間を指で押さえた。 (不確定部分が多すぎるなぁ……。確信に導けるような情報は何処にあるんだろう?) 深い溜息をついた僕は移動授業の準備を行う。 まだ一時限目が終わった休み時間だ。昼休みまでは時間がある。 今後の予定を練るには十分すぎる時間だ。 無駄なくやっていくかと心の中で呟くと、後ろから肩を掴まれた。 「ん?」 「おっす、祐磨。一緒に行こうぜ」 元気に親指を突き立てた「矢桜閃」通称ヒラヤがそこに居た。 ヒラヤとはこの高校に入ってから出来た友人だが、巡り合わせが良かったのか今年も僕と同じクラスで授業を受けている。 とゆうか平然を装ってるが掴んでいる肩が凄く痛い! 「ヒ、ヒラヤ……居たのか。先に行ってると思ってたんだけど……っ!」 「友人ほったらかして先に行くかよ。そこまで無慈悲な奴じゃないぜ」 やっている事と言っている事が全く合ってない……! 理不尽な痛みに耐えながらも僕は苦笑いを浮かべる。
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