第一章

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「ところで何してたんだよ?なんか真面目な顔してメモ帳見てたみたいだけどよ」 「ちょっとした考え事さ」 ヒラヤの拘束が解けた僕は肩を回しながら答える。 「考え事?そういやお前、昨日、早見となんか喋ってたな?その事か?」 「まぁそんなとこ。尾崎さんの事で相談を受けてさ」 「へぇー。それでストーカー紛いの事をやってると」 「誰もそんな事は言ってないしやってもない。とゆうか見たな?このメモ帳」 「ああ。話しかけても全然聞きもしねぇんだぜ?そりゃ覗くしかないだろ?」 その理屈はおかしい。 「……誤解だけはしないでくれよ?僕は彼女を調べてるだけなんだから」 「普通ならドン引きだぞ?まあ、お前なら仕方ないか。あいつを【見透かす】つもりなんだな」 「……まあね。折角の学園生活なんだし楽しくやった方が良いと思うしさ」 「それは同感だ」 僕たち以外の生徒がいなくなった教室に鍵を閉めて、廊下を歩いて行く。 「そういや、尾崎の事なんだが知ってるか?」 「ん?何の事?」 「小耳に挟んだ話なんだけどよ。尾崎の奴、一度呼び出されてるらしいんだ」 「……面白い冗談だな。でもせめてもうちょっとわからないくらいの嘘つけよ」 ただでさえ情報収集に躍起になっている最中だ。本音を言えば笑えない。 友人じゃなかったらワンパンあるで? 「いやいや。嘘じゃねぇって!」 「じゃあ誰が呼び出したんだよ?」 「そ、そこまではわからねぇけどよ……」 『本当だってのに……どうやったら信じてもらえる?』 返事に困っているヒラヤの心を軽く見透かす。 ……どうやら言ってる事は本当らしい。だとすれば…… (尾崎さんを呼び出した先生がいる?一体何の為に?) どう考えても彼女が問題を起こすような生徒には思えない。 ……こればっかりは全くわからない。でも、これは大きな一歩だ。 「わかったよ。信じる。有りがたく受け取っておくよ」 「へ?あ、ああ。まさか俺を見透かしたな!?」 「違う。審議しただけだよ。信じれるかどうか」 「くぅ!こいつめ!勝手に心の中を読んでんじゃねぇ!」 「ちょ!まじで止めろってそれ!ああああああああ!」 そして僕の叫び声とともに、二時限目開始のチャイムは鳴り響いた。
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