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「ところで何してたんだよ?なんか真面目な顔してメモ帳見てたみたいだけどよ」
「ちょっとした考え事さ」
ヒラヤの拘束が解けた僕は肩を回しながら答える。
「考え事?そういやお前、昨日、早見となんか喋ってたな?その事か?」
「まぁそんなとこ。尾崎さんの事で相談を受けてさ」
「へぇー。それでストーカー紛いの事をやってると」
「誰もそんな事は言ってないしやってもない。とゆうか見たな?このメモ帳」
「ああ。話しかけても全然聞きもしねぇんだぜ?そりゃ覗くしかないだろ?」
その理屈はおかしい。
「……誤解だけはしないでくれよ?僕は彼女を調べてるだけなんだから」
「普通ならドン引きだぞ?まあ、お前なら仕方ないか。あいつを【見透かす】つもりなんだな」
「……まあね。折角の学園生活なんだし楽しくやった方が良いと思うしさ」
「それは同感だ」
僕たち以外の生徒がいなくなった教室に鍵を閉めて、廊下を歩いて行く。
「そういや、尾崎の事なんだが知ってるか?」
「ん?何の事?」
「小耳に挟んだ話なんだけどよ。尾崎の奴、一度呼び出されてるらしいんだ」
「……面白い冗談だな。でもせめてもうちょっとわからないくらいの嘘つけよ」
ただでさえ情報収集に躍起になっている最中だ。本音を言えば笑えない。
友人じゃなかったらワンパンあるで?
「いやいや。嘘じゃねぇって!」
「じゃあ誰が呼び出したんだよ?」
「そ、そこまではわからねぇけどよ……」
『本当だってのに……どうやったら信じてもらえる?』
返事に困っているヒラヤの心を軽く見透かす。
……どうやら言ってる事は本当らしい。だとすれば……
(尾崎さんを呼び出した先生がいる?一体何の為に?)
どう考えても彼女が問題を起こすような生徒には思えない。
……こればっかりは全くわからない。でも、これは大きな一歩だ。
「わかったよ。信じる。有りがたく受け取っておくよ」
「へ?あ、ああ。まさか俺を見透かしたな!?」
「違う。審議しただけだよ。信じれるかどうか」
「くぅ!こいつめ!勝手に心の中を読んでんじゃねぇ!」
「ちょ!まじで止めろってそれ!ああああああああ!」
そして僕の叫び声とともに、二時限目開始のチャイムは鳴り響いた。
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