第一章

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「橋下君。ちょっといい?」 サンドイッチの組み合わせの素晴らしさを痛感していたとこでクラスメイトに話しかけられた。 「んっ。……構わないよ。どうしたの?」 口に残っていた物を飲み込み、彼女にそう問う。 彼女は早見千里さん。 保健委員に所属し、性格は優しく、女性陣との交友関係が強い。 しかし男性とは余り進んで接触しないタイプの女性。 そんな彼女が僕の元へ来た理由は恐らく……。 「えっと、実は言いにくい事なんだけど……」 「あの子の事かな?早見さん」 「えっ?」 教室の中央に座っている女の子を指さし、僕は彼女が話し始める前に尋ねた。 「え、えぇ!?な、なんでわかったの!?」 「簡単だよ。早見さんは保健委員をやっていて、クラスメイトの事を気にかけてくれてる優しい人だ。それに加えて、言いにくい事と言ったら、みんなが思いつきそうな事で触れられない様な話題。そう考えたら、彼女の事じゃないかなって思っただけだよ」 僕の簡単な考察にポカーンと、口を開けたまま聞き流す早見さん。 そして「……凄い」と彼女は目を丸くしながら言葉を零す。 が、すぐに首を横に振り思い直した様に僕の顔を見つめなおす。 「橋本君、これから話すけど、余り変に受け取らないでね?」 妙に真剣な顔で話す早見さん。 (……どうしたんだろう?彼女らしくないな……?) 「うん。一体どうしたの?」 一度後ろを振り返り、何かを確認したあと、再び僕と顔を合わせる。 「……尾崎さんの事、どう思う?」 尾崎冬華。教室の真ん中に座席を構える不動無表情の女子生徒。 先ほど僕が指さした女の子の名前だ。 その聴き方だと恋愛感情を抱いているのか?っていう風にしか聞こえない。 なるほど。その為の釘刺しか。
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