俺とあいつの出会い

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ガチャッと玄関が開き お兄さんが顔を出した 「お風呂にしては 早かったね暦君」 「わ、私の勘違いでしたの まだ入ってなくて」 「そうだったんですか 暦君ちょっと来てくれるかな?」 歩けるわけがない 立ってるのに精一杯なのに 歩くなんて無理 「どうしたの? …………もしかして歩けないの?」 「…………違い、ます」 ゆっくりゆっくり 歩きお兄さんの前まで行った 「暦君」 「なんですか?」 お兄さんはボソッと 耳元でこう囁いてきた 「助けてあげるから 施設とかに預けたりしない この家から出してあげるから 僕のいう事聞いて?」 ……助ける? 施設以外に何処に預けんだよ でも、お兄さんの目は 真剣そのもの 俺はコクンと頷いた ………信じてみてもいいって思えた お兄さんはニッコリ笑い 俺の右腕を掴んだ 「ッいた」 「え?痛い?どうして?」 お兄さんはきっとわざと してるんだと思う さっき俺が痛そうに 右腕を見てたのを知ってるはずだし 「袖捲るね」 お兄さんは俺の右腕の袖を捲った 「これどうしたの?」 あ…トーンが低くなった気がする 「さっきはなかったよね? お母さん方煙草お吸いになられます?」 お兄さんは相変わらず笑顔だけど その笑顔が逆に怖くて 笑ってるけど目が笑ってないよね  
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