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「……邪魔なら殺せよ」
ボソとそう言うと
ポスっと頭に何かが被さった
手を頭に伸ばし
被さったものを手に取り
少し顔をあげた
帽子?…警察の帽子?
何でこんな所に?
「物騒な事言わないの」
この声って
それにこの警察の帽子って
「……何でいんだよ」
「捜したに決まってるでしょ?」
「………何で捜すんだよ」
「心配だからだよ
こんな所にいないで
お家に帰りなさい」
「……………」
「………家に帰りたくないの?」
帰りたくない?
違う、あそこは
俺が帰っていい場所じゃない
「……ちげぇよ」
俺は顔を伏せたまま
お兄さんにそう言い
ベンチから立ち上がった
「ちょっと待って」
お兄さんはパシッと
俺の腕を掴んだ
「あった時から不思議に
思ってたんだけどさ
こんなに暑いのになんで長袖?」
お兄さんは俺の服の袖から
自分の手を入れてきた
ビクッと肩が跳ねた
長袖の理由は簡単で
腕を見せれないからだ
「……君名前は?」
「………暦」
「可愛らしい名前だね」
「うっせぇ」
「苗字はなに?」
名前を聞いてこいつ
どうする気なんだ?
家を捜す…とか?
そうなったらまた殴られたり
するんだろうなあ
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