1.金曜日午後一時半。コンクリートが

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 強化ガラスで仕切られた一画。天井から、二本の、二メートルほどの鉄製フックが下がっている。 間隔は一メートル。 フックには、直径二センチほどのシリコン製のホースが吊り橋のように下げられている。 ホースの全長は約三メートル。近所のホームセンターで買った普及品だ。ホース内は透明の液体で満たされ、中に、太さ五ミリほどの乳白色の蛇がいる。 いや、蛇ではない。その、皮を剥いだ蛇を思わせるケーブルこそが《ラン》の本体だった。 ホース内の高粘性用液と合わせてラン・システムと呼ばれていた。
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