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「三、二、一、発射」
滝沢は、発射スイッチを押す。射撃音がコンクリートの建物に反響して、消える。
銃弾がラン・システムを引き裂き、背後の弾痕だらけの防護シートに食い込む。ホースは弾かれたように跳ね上がり、千切れ、重力に従って垂れ下がる。その動きがゆっくりとしているのはホース内の高粘度の液体のせいだ。
「通電」
通電スイッチを、滝沢智則は祈りをこめて押した。《ラン》──頼む。
二本に分断されたホースの、コンピューターに接続された側がまばゆく発光する。
「断面間距離、約五十ミリメートル」
床を向いたホースの断面からドロリと流れ出した液体が意志を持ったように「仲間」を求めて動き出す。その中では白蛇が──
社員たちにとっては見慣れた、神秘的、かつ、グロテスクな光景だった。
高千穂バイオテックは戦闘用ロボットの開発を行う企業ではあったが、そこには「ロボット」と聞いて人が思い浮かべる情景はない。生物の、しかも原始の力が、場を支配していた。
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