7809人が本棚に入れています
本棚に追加
「わあ! どこです? もしかして日立? あ、三菱──ああ!」
滝沢はポカンと口を開けて大学の先輩でもある宗田を見た。やがて表情を崩す。
「ついにやったんですか!? ついに防衛省が! 名取幕僚が動いてくれたとか!」
「おまえの未来はいつも明るいな。その調子でこれからも頼む」
宗田は苦笑する。
「先輩、教えてくださいよ」
「オベール。月曜までは他言無用だ。いいな」
滝沢智則は逃げるように立ち去った宗田武の後ろ姿を目で追った。追いかけて問い質したかったが、足が、まったく動こうとしない。立ったまま腰が抜けたようだった。いや、実際は、怒りで動くことができなかった。
(先輩──《ラン》は外国の会社に売られたってことですか?)
オベールはフランスの大手兵器メーカーの名だった。
最初のコメントを投稿しよう!