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ダイニングの扉を開ければいつのまにか全員が席についていた。
セレが入室したと同時にクラッカーが放たれる。
「誕生日、おめでとうございますセレさん!席に座ってください。」
エリーが笑顔でクラッカーをセレに向けながら言う。
「ありがとうございます。」
その言葉に笑みを返して席に着く。
運ばれてきた料理は、温かい味がした。
「セレお兄ちゃん、僕も手伝ったんだよ!」
レオンが笑顔で料理を指差す。確かに具材の形が不揃いなのが見受けられる。
一生懸命慣れない包丁を使ってお手伝いをしたのだろう。
「ありがとう。怪我しなかった?」
「平気!元光お兄ちゃんが教えてくれた。」
セレは眼を丸くした。
彼の尊敬する上司の前で一回元光を倒してからというもの、嫌われているのは知っていた。
セレの視線に気付いた元光が、むすっとして呟く。
「レオンに頼まれて仕方なくだ。別にお前のためじゃない。」
少し前の彼ならレオンに頼まれても断ったに違いない。
最近レオンと接することで随分丸くなったものだと笑う。
そこの空気は暖かくて。
この暖かい場所で、暖かい人たちに生を祝われることが、果たして自分に許されるだろうかと思う。
ここにいる資格なんてないのに。
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