誕生日

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食事を食べ終わると、あずまが声をかけてきた。 「セレ、今日は家事とか俺らがやるから、一日自由に過ごせよ。俺は今日出かけないから、護衛も心配しないでいい。どっか出かけてきたらどうだ?」 気遣ってくれるあずまに礼を言って、退室した。 せっかくの気遣いをむげにするのも申し訳ない気がして、適当に外行きの格好に着替える。 しかし。 「…行くところがないな・・。」 普段暇さえあれば書類整理などをしているので、あまり自分の時間というものを過ごさない。個人的な外出はなおさらだ。 悩んだ末散歩することに決めたセレは、家をでた。 冷たい外気が吹き抜けるなかを、目的もなくうろつく。 街へ出ればすでにクリスマスの装飾で華やいだ雰囲気になっている。 「わあっ!見て、雪!」街を歩く男女の会話が耳に入り、空を見上げる。緩やかに降ってくるのは、白い雪。 それを見た瞬間。 セレは小さく息を呑んだ。 ―白い雪景色の中、倒れる彼女を抱きとめた。 初めて逢った日のように。 白いはずの雪は赤く染まり、その中でただなすすべもなく彼女の身体を抱き締めた。 フラッシュバックした光景を振り払うように、きつく眼を閉じる。
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