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「セレさん・・?」
そこに聞こえてきた声に、驚いて眼をあける。
「どうしたんですか?こんなところで立ち止まって・・。」
「直樹さん・・。」
そこにいたのは、天翔の部下である青年だった。
「なんだか具合も悪そうですし・・。」
年より下に見られがちな幼さを残す顔で心配そうに尋ねてくる直樹にセレは小さく笑った。
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」
直樹はじっとセレの顔を見つめていたかと思うと、セレの手をとった。
「やっぱり具合悪いでしょう。手も冷えちゃってます。
俺の家近いですから、行きましょう。温かい飲み物出しますから。」
そのままぐいぐい手を引かれ仕方なく歩き出す。
直樹の住んでいるというアパートは、街の中にこじんまりとあった。
部屋に案内され、足を踏み入れる。直樹の部屋に入るのは初めてだった。
そもそも天翔の部下ということで紹介されただけで、あまり二人で話したことすらない。
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