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自嘲気味に笑うセレに、直樹は肩を落としていった。
「すみません、力になれなくて。総監ならもっとセレさんのこと分かってあげられるんだと思うんですけど・・。」
総監とは天翔のことである。
そこで気付く。
いつもこれほどまでに気が滅入ることはない。
なぜ、今日に限ってこんなにも鬱屈した気分になるのか。
自分が辛いときは、かならずいつも側にいて、支えてくれた。
太陽のような男が、今日は側にいないからなのだと。
「天翔は・・まだ仕事ですか?」
小さく尋ねると、直樹は苦笑いで答えた。
「はい。仕事溜まってたみたいで。今日中に終わるか分からないって嘆いてました。」
昨夜から仕事場で缶詰状態の天翔には、昨夜から一度も会っていない。
「そう・・ですか。」
沈んでいるセレに直樹は困ったように笑った。
「…総監、言ってました。
早くあいつのとこ戻ってやんねぇとって。
きっと、セレさんのことですよね。総監も、何だかセレさんのこと心配してるみたいだったんです。
だから、セレさんになにかあったなら俺も何かできないかなって思って。
すみません、強引に連れてきちゃって。」
「いえ・・。ありがとうございます。」
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