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意識が浮上したのは陽が沈んだ頃だった。
二度寝できないと思っていたのにかなり熟睡していたらしい。
起き上がり箱を引き出しに仕舞いこんだ時、ちょうどノック音が響いた。
「セレ、夕食できたぞ。」
「あ、はい、今行きます。」
呼びにきてくれたあずまと連れ立って歩く。
ダイニングにつくと、その料理の多さに驚く。
手間をかけて作ってくれたのだろう料理に、セレは小さく笑った。
「さ、セレさん、座って、召し上がって下さい!」
エリーの声に席に着き、箸をとる。
「・・・温かい、ですね。」
「? そりゃ作りたてだからな。」
そりゃそうだろうと相槌を打つあずまにセレは苦笑した。
料理の温度ではなくて。
きっと冷めても温かいに違いないだろう、優しい味がしたから。
ムサシが飾りつけをしたというメインのケーキは、なんだか緑色をしていて得体の知れない物がケーキ生地から突き出ていたがやっぱり優しい味がした。
舌が味を捕らえる前に瞬時に飲み下したからさだかではないが。
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