誕生日

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「これ、プレゼント。新しい万年筆欲しがってただろ?」 あずまがくれた箱には、以前セレが一回だけ会話の中で欲しいと望んだ、万年筆が入っていた。 「・・よく、覚えていてくださいましたね。」 自分で話したことさえ忘れていたのに。 「セレ、なかなか欲しいものとか言わないし・・。 珍しかったから、覚えてた。 さりげなく欲しい物リサーチしようとしても新しいまな板とか答えるし・・。」 ぼやくあずまにセレは数日前の会話を思い出した。 『セレ・・なんかさ、入用なものとかないか? あったら買ってくる、その、なんか欲しい物・・。』 『欲しい物・・ですか?う~ん特には・・あ、新しいまな板が欲しいですね。 お願いしてもいいですか?』 てっきり食事を担当するセレに新しく必要な物資を聞きにきたのだと思っていたが、違ったらしい。 あずまがプレゼントを渡したのを皮切りに他の者もプレゼントを渡しにいく。 すぐにプレゼントで埋まった自分の机の前をセレは呆気にとられた思いで眺めた。 「あ、ありがとうございます。」 沢山のプレゼントを手に、お礼を言う。 「誕生日、おめでとうセレ。」 「後片付けは私達がやっておきますから、セレさんは偶には休んで下さい。働きづめは身体に毒ですよ。」 あずまとエリーの言葉に、セレは丁寧に頭を下げて退室した。 自室に戻りプレゼントを机に置く。 目の前のプレゼントに嬉しいような申し訳ないような気持ちになる。
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