誕生日

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しばらくプレゼントを眺めていると、不意に扉の前で気配がした。 よく見知った、馴染んだ気配。駆け寄るようにして扉をあけると、天翔がいた。 冬だというのに薄っすらと汗を掻いているのは、走って帰ってきたからか。 「よ、わり、遅れた。」 片手をあげて謝罪する天翔に、セレは顔を逸らした。 「…お前の分際で遅れるなんていい度胸だな。」 顔を見たら泣きそうだった。 慌てて背を向けようとすると、強く肩を掴まれて天翔のほうを向かされた。 「悪かった、独りにして。 怒鳴っても詰ってもいいけど、泣くの我慢するのだけは、勘弁な。 我慢される方がよっぽど辛い。」 彼女が死んでから、抜け殻のようにただ彼女の骸を呆然と抱き締めていた。 泣くことさえできなかった。 そんな自分のもとに現れたのは、やっぱり天翔だった。 たった一人組織に残って反抗したのだ。 死んでしまっていると思っていた。 でも、生きていてくれた。 組織の追っ手を振り払ってセレのところまできた天翔は、呆然自失状態のセレを抱き締めてくれた。 間に合わなかったと。 守れなくてごめんと何度も謝る天翔に、彼女が死んでから始めて泣いた。 それまで泣く資格すらないと思っていた自分に温もりと優しさをくれた。
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