誕生日

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「何してる?」 「ん~、プレゼント渡してねぇなと。 お、あったあった。 ほい、これ。」 そういって天翔がポケットから引っ張り出したのは、封筒だった。 「誕生日おめでとう、ジン。」 手渡された封筒をあけると、そこには飛行機のチケットが二枚入っていた。 行き先は――彼女と過ごした国。 「まさか一人で墓参り行く気じゃないよな?俺も連れてけよ。」 そういって笑ってセレの頭を叩く天翔も、彼女とは浅からぬ縁だった。 セレが組織を脱してすぐ出会ったという二人は友人同士だったという。 そんなことはおくびにも出さずセレだけを励ます天翔に、俯いて言う。 「…ついてくるなら勝手にしろ。」 温かい食事と心を込めたプレゼント。 誰かに生を祝われることも悪くないかもしれないと、少しだけ思う。 どんなに傷ついて苦しんで後悔しても。 誰かに励まされ、癒され、―そうして前へ進んでいく。  空から降っていた雪はいつのまにか止み、静かな月明かりが二人を照らしていた。 その一筋の光はまるで希望への道しるべのようだった―。 〈END〉
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