瓶詰紙片展示会

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《花埋み》 散り敷かれてなお仄ひかる 薄紅の花弁を踏み分けて あるけども あるけども 思い出せない 君の在りか 此処には誰も、いないので 何処まで行ってもいないので 君を埋めた木が どうしても 思い出せない 其の根に絡めとらわれた ま白な骨をうらやめど 私は肉を棄てられず 花と君との蜜月は 私を呼んでは呉れぬので 私はひたすら花を食み 白い樹液を垂れ流す ふり仰ぎ 手を伸ばせども 其の花は 手の届かない高みにて 風にざわめくだけなので 透かして見える月すらも 私に報いて呉れぬので
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