恋愛起源説

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《春猫》 さめやらぬ よいの春猫 恋をする 遠い屋根にて猫どもが 呼び交わす声が尾を引いて かすれた喉のあたしは独り さめきらぬ熱に 浮かされる 春猫 春猫 恋をする あたしはとうに色さめて なぞらえることでなつかしむ 春のねむりは甚だ浅く ただ緩慢に尾を引いて 暁なんか来なきゃ好い、と さめきらぬ夢に すがりつく
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