第一章

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平助は、少し驚いたような顔をして私を下から上へ...上から下へと視線を動かす。 「チビ...お前...」 「な、何?私の顔に何か付いてんの?」 目を見開いて私を見つめる平助を見ていると不安が襲ってくる。 私、何か悪いことしただろうか? だけど、そんな驚いた顔をするなんて...。 「あら?琥珀さん」 「あ...菫さん」 私が平助を見つめて試行錯誤する中、この屯所で唯一の女中、黒田 菫(クロダ スミレ)さんがヒョッコリと平助の後ろから顔を出した。 菫さんは、訳ありのお嬢さん(長州に狙われているとか...)で、特別に屯所で女中として働かしてもらっている。 ちなみに菫さんと平助は、恋人同士。 心優しい菫さんと性格の悪い平助...二人が付き合った経緯は未だに分かっていない。 「チビ...」 「平助...さっきから何?言いたいことあるなら言ってよ」 「...?」 こんな狭い廊下で言い合いなんて勘弁してよね。  
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