第三章

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今私は、屯所の門へと向かっていた。 十二月中旬。 雪が降る回数も増えてきた頃、私は冷たい水で洗濯をしていると門の方から『桜井さーん!!』と私を呼ぶ声がしたのだ。 私が門前へ来ると、門番から『桜井さん宛の手紙ですよ』と渡されたのは、封筒に入った一通の手紙だった。 差出人に目をやると、一週間程前に江戸へと旅立った平助からの手紙だ。 なんだろうか? もしかして菫さんとのラブラブなことが綴ってあったりとか? ノロケなら微笑ましいが...。 私は、少しワクワクとして封筒から四折りにされた手紙を取り出した。 なになに...? 【チビへ 生きてるか?というか、少しは背が伸びた? 江戸にまだ着いてねぇけど...とにかく寒い!!菫の手の温もりが温かく感じるんだぜ? つかよ...、お前って恋人いんの?菫と話をしていて何やら“おイチ”とか言う女に告白され...】(以下省略) なんかね...。 何処にいても、平助は平助というか...。この手紙を見て一気に疲れました。 私が溜め息を吐くと背後に気配を感じる。 「おイチって誰?」 ゾクリと背中に寒気が走った。  
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