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私の隣の席には、おそろしく完璧な人間がいる。
8時20分ちょうど。
彼は寸分の狂いもなく正確にやってくる。
隣の私はほぼ毎日出される教科の宿題の残りを必死にやっていて、気配でそれを知っていた。
「あのさ」
それはいつも通り。
けれど、今日は違った。
「………………え?」
――今、話し掛けられた?
席替えになってから1ヵ月。
クラスメイトとして隣の席同士として会話なんてしたことなかった。
「そこ、違う」
「そこ? え、どこ?」
いきなりの指摘に私は自分のプリントを見て確認した。
けれど、そこには散々悩んでいる数字の羅列が並んでいるだけで、まったくもってなにが違うのか見当もつかない。
「これ? でもこの公式以外使えないし……」
「公式じゃなくて」
ぬっといきなり伸びてきたのは白いシャツの袖をまくった腕。
そう言えば昨日から衣替えだ。
まだ肌寒いので私は冬服から変えていないけれど。
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