プロローグ

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成績や運動能力の良さなんて偶然の産物だ。 小学生の頃から既に、自分は最初から他の子よりも劣っていると知っていた。だから先に先にと努力を積み重ねることをしていたに過ぎない。 高一の時、そんな俺の様子が噂になって、大層な尾ひれや足までついて俺の知らない場所で広められた。 そうして否定も虚しく固まってしまった俺のイメージと定着した外聞は、進級して二年生になっても薄らぐ素振りなど微塵も見せないつもりらしい。 また、敬遠されるのか。 いくら考えても容易に想像がつくのは一年の時と同じ、俺が望まない孤独だけだった。 キーンコーンカーンコーン… 予鈴が鳴り、文庫本を閉じて鞄の中へ。 生徒が着席し始める中で、視界に入った隣は余りの空席。…どうやらとことん俺を一人にしたいらしいな。 人知れずため息を吐けば、タイミングよく担任が入ってくる。 こうして青春真っ盛りとはかけ離れた、俺の高二生活が幕を開けた。
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